• 2026年9月9日
  • 2026年9月1日

「除菌したから、もう安心」?_ピロリ菌とは

診察室でよくあるやりとり
医師「ピロリ菌は調べたことがありますか?」
患者「10年ほど前に除菌をしました。」
医師「胃カメラは?」
患者「していません」

ピロリ菌とは?
幼少期に口経由で胃の中に感染し、胃の粘膜の表面に定着している菌のことです。
慢性胃炎、胃潰瘍や胃癌を引き起こすやっかいな菌です。
抗生剤と胃薬の組み合わせで、1週間の治療(場合によっては2セット)により9割以上が治癒します。

除菌したら終わり、ではない
でも、残念ながら、「ピロリ菌の除菌ができた=胃癌ができなくなる」、というのは誤解です。
除菌をした方は、しなかった方に比べて、胃がんのリスクは確かに減ります。ただし、”ゼロ”にはなりません。

ピロリ除菌で胃癌は減る、でもなくならない
大規模な研究データから、ピロリ菌を除菌した方は、しなかった方に比べて、胃がんの発症リスクが「約1/3〜2/3に低下する」ことが分かっています。これは大きな成果ですが、裏を返すと:”除菌しても、胃がんリスクは完全には消えない”ということでもあります。

なぜ、胃癌がゼロにならないのか
がんは、細胞の遺伝子に”傷”がいくつも積み重なることで発生します。
慢性的な炎症で細胞が損傷した際に、傷を治すために細胞分裂が起きます。
細胞分裂するときは、DNAをコピーして同じDNAをもった細胞が増えるはずです。
しかし、傷がついたDNAはコピーミスを起こすことがあります。
ピロリ菌の感染は、このミスを大量に増やす主要因です。


ピロリ菌感染歴のある胃は傷だらけ
ピロリ菌に感染した胃の細胞は、胃癌と同じくらいの傷が溜まっています。
癌ではない細胞たちは、たまたま発癌関連の遺伝子にはあまり傷がついていません。
除菌によって、新たな傷は増えにくくなりますが、”すでに蓄積された遺伝子の傷”は消えません。
“蓄積された傷”に、加齢の過程で”最後のひとふみ”が加わると、癌細胞が生まれてしまう
つまり、除菌は”これから傷を増やさない”効果はあっても、”すでにある傷を消す”効果はない、ということです。

「潜んでいた癌細胞」が、育つのに数年
もう一つの可能性として、除菌の時点で癌細胞は存在しているが、内視鏡では認識できないほどのサイズだ、ということがあります。
除菌した時には内視鏡で見えないほど小さくても、数年かけて、検出可能な大きさに育つことがあります。
また、癌細胞の元(幹細胞)は粘膜のわずかに奥の方にいるので、表面にきれいな粘膜が乗っかっていて見えづらいということもあります。

癌は、予防、早期発見、早期治療が大事。
ピロリ菌の除菌は胃癌発生率を下げるため、ある程度の予防にはなります。
しかしゼロにはできないため、内視鏡での早期発見は重要です。(バリウムでは見えません)
早期の癌で発見できれば、内視鏡での早期治療で、治癒が見込めます。

若いうちに除菌しておいた方が、「傷」は少なくて済みます。
ピロリ菌に感染しているかどうかは、便の中の菌のカケラを調べることが最も確実ですが、「いそうかどうか」は抗体検査でもあたりがつきます。
調べたことがない方は、一度検査おススメします。

熊谷内科医院_胃カメラ https://kumagainaika.com/endoscopy.html
ご予約はこちら

――――――――――――――――――――――――――
医療法人社団熊谷内科医院 副院長 熊谷 健(総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医/日本消化器病学会 専門医・指導医/日本肝臓学会 肝臓専門医/京都大学 医学博士)放射線科・消化器内科の両分野の視点で診療に携わり、大学院は肝臓グループに内視鏡を専門とする。国立病院機構京都医療センターや大津赤十字病院では胃カメラ(胃内視鏡検査)や大腸カメラ(大腸内視鏡検査)での食道癌・胃癌・大腸癌手術を主に担当。
神戸市西区・西神中央駅10分

熊谷内科医院 078-991-7115 ホームページ