• 2026年9月16日
  • 2026年9月11日

大腸カメラ?大腸カプセル?

「大腸カプセル内視鏡があるって聞いたんですけど」
たびたびご質問いただきます。
「これで、あの下剤も、あの検査台も、受けなくていいなら…!」 そう期待される方の気持ち、分かります。
ですが、結論から申し上げます。

現時点では、”大腸カメラの代わり”にはなりません。

小腸カプセルは有効!
長らく、小腸は暗黒大陸でした。胃カメラでは十二指腸までしか見えない。大腸カメラでも回腸ちょっとしか見えない。胃カメラでも大腸カメラでも届かない、病気があっても認識できない臓器でした。
そこで、「バルーン内視鏡」という名前の、小腸を引っ張ってたぐりよせながら入っていく長いカメラができました。小腸は長いので、口から入るバルーン内視鏡と肛門から入るバルーン内視鏡で全小腸を見に行きます。でもこのバルーンが膵臓をこすって膵炎を起こすことがあったり、バルーンで腸を裂いてしまったり、合併症リスクが出てしまうので敷居が高いのです。
そこで、カプセルの出番です。カプセルは飲むだけ。小腸はよく蠕動するので、ご飯が滞留することがほぼありません。また細いホースのような臓器なので、カプセルがちょうど襞を広げながら進んでいきます。死角がほとんどありません。これは良い検査です。

では大腸カプセルは?
大腸は”太い袋”のような臓器です。カプセルは、その袋の中を流れに任せて泳ぐことになります。
カメラが見えにくいところを膨らませたり、ヒダを引っ張ったりできない。”通常の大腸カメラなら、押して引いて、ヒダを引っ張って裏側まで覗く”。この操作ができないカプセルでは、構造的に見逃しがでてしまいます。
とはいっても、検査として成り立つくらいに、精度は保たれています。うまくいけば大腸カメラの80-90%くらいの精度が出せるようです。

しかし、その精度を出すには、大量の下剤を飲んで、また追加で下剤をブーストして飲んで、と結構な苦労が必要です。というのも、大腸の壁を流されながら撮影するため、胆汁などによる混濁をものともしないくらいに腸の中を透明にしないといけないからです。ポリープが見つかったとして、その治療を行うには結局大腸カメラをしないといけません。

大腸カメラが敬遠される理由の1つは、大腸カメラは痛い。でも麻酔で痛くなくすることができます。
もう1つの理由は、下剤を飲むのがしんどい。でもカプセルをきれいに受けるには、さらに大量の下剤が必要です。不十分な量の下剤では、検査を受けたつもりになっていて見逃しになってしまうかもしれません。
また、撮影のカプセルが出るまでかなり時間がかかりますので、比較にならないくらい検査時間がかかります。

“下剤の量が減る” どころか増えるうえ、”陽性でも治療できない”、”陰性でも安心できない” 、”なかなか終わらない” という中途半端な立ち位置になってしまいます。

じゃあ、大腸カプセルに意味はないのか?
というと、そうでもありません。大腸カメラは全員が全員、きれいに全体を観察できるわけではありません。
お腹にたまった内臓脂肪によって腸がたわんでしまい、途中までしか入らない人もいます。
お腹の手術で癒着してしまって、カメラが進まないこともあります。
そのような大腸カメラ困難例では、大腸カメラが届かない部位にカプセルが届くことで、死角を補うことができます。CT colonoscopyという検査についてはまた別記事で書きますが、立ち位置は似たようなものです。

「大腸カメラが怖いから、カプセルにしたい」という方は、これらの情報を加味した上で判断してもらえればと思います。(ちなみに当院では、カプセル内視鏡は対応していません。)

熊谷内科医院_大腸カメラ https://kumagainaika.com/colonoscopy.html

――――――――――――――――――――――――――
医療法人社団熊谷内科医院 副院長 熊谷 健(総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医/日本消化器病学会 専門医・指導医/日本肝臓学会 肝臓専門医/京都大学 医学博士)放射線科・消化器内科の両分野の視点で診療に携わり、大学院は肝臓グループに内視鏡を専門とする。国立病院機構京都医療センターや大津赤十字病院では胃カメラ(胃内視鏡検査)や大腸カメラ(大腸内視鏡検査)での食道癌・胃癌・大腸癌手術を主に担当。
神戸市西区・西神中央駅10分

熊谷内科医院 078-991-7115 ホームページ