• 2026年8月19日
  • 2026年8月23日

便潜血について

毎年の健康診断で便潜血検査を受けたあと、「便潜血反応 陽性 要精密検査」と書かれた結果を受け取って戸惑ったことはありませんか?「たぶん痔だろう」「症状もないし大丈夫」と、大腸カメラを受けずにそのまま放置していませんか?


便潜血は「大腸」を見る検査
便潜血検査(免疫便潜血検査/FIT)は、便のなかにヒトのヘモグロビンが混じっていないかを調べる検査です。胃から出た血は腸を通るうちに消化されて壊れるため、普通は便潜血には出ません。だから基本的に大腸の異常を調べる検査です。(例外は胃潰瘍などで大量出血があれば陽性になり得ます、黒い便や貧血で気づくレベルです。)
陽性でも、大半は「何もない」
便潜血陽性で大腸カメラを受けても、大半の方には特に便潜血の原因となるような異常は見つかりません。潜血の原因にならないような前がん病変としてのポリープを認めることは多いです。その中に、ごく稀に大腸がんが混じっている というのがこの検査の実像です。
集団のための検査であって、個人のためではない
便潜血は、大多数の日本人から効率よく大腸がんを見つけ出すために設計された検査です。あなた個人のがんの有無を保証するものではありません。陽性でもがんがない人がほとんど、陰性でもがんが隠れていることはある。便潜血は、あくまで「大腸カメラを受けるきっかけ」にすぎません。症状があるなら、便潜血を待たずにカメラを受けるべきです(本当は症状が出てからでは遅いです)。
「便潜血を待ってから相談します」は、おすすめしません
「毎年便潜血をやってるので、その結果を見てから相談します」 過去にポリープを指摘された方やご高齢の方には、個人的にこれはあまり良い判断ではないと考えます。便潜血陰性は「大腸に問題がない」証明にはならないからです。
では、検診の意義は?
日本全体で見れば、便潜血検診によって大腸がん死亡が減ることは証明されています。重い腰をあげてもらうための意識付けとしての役割はあります。「一人ひとりを正確に判定する」のではなく、「集団全体のがん死亡を減らす」ための道具、と考えてください。
若いから大丈夫、はありません
20代で大腸がんが見つかった方もいます。「若いから関係ない」は禁物です。家族歴やご自身のリスク(過去のポリープ、潰瘍性大腸炎など)を含めて、一度は消化器科でリスク評価を受けておくことをおすすめします。
ちなみに
・ 腸炎(虚血性腸炎、感染性腸炎、潰瘍性大腸炎など)でも便潜血は陽性になります
・ 小さなポリープでは普通、便潜血は陽性になりません。「陰性だからポリープもない」とは言えません

まとめ
便潜血は集団のがん死亡を減らすための検査。個人の結果は「きっかけ」にすぎません。症状のある方、リスクのある方は、大腸カメラを受けた方が良いことが多いです。便潜血を待たず一度ご相談ください。

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医療法人社団熊谷内科医院 副院長 熊谷 健(総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医/日本消化器病学会 専門医・指導医/日本肝臓学会 肝臓専門医/京都大学 医学博士)放射線科・消化器内科の両分野の視点で診療に携わり、大学院は肝臓グループに内視鏡を専門とする。国立病院機構京都医療センターや大津赤十字病院では胃カメラ(胃内視鏡検査)や大腸カメラ(大腸内視鏡検査)での食道癌・胃癌・大腸癌手術を主に担当。
神戸市西区・西神中央駅10分

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